妊娠とは
不妊症について話を進める前に妊娠とはどういうことなのかについてお話ししておきたいと思います。
そんなことはわかっている、おなかの中に赤ちゃんができることに決まっているとおっしゃるかもしれません。
確かに妊娠の結果はその通りなのですが、妊娠が成立する、すなわち女性の体の中に新しい生命が宿るということは実は神秘的で複雑な過程を経て初めて起こることなのです。
妊娠するのに必要なさまざまな仕組みについてもう少し詳しくご説明しましょう。
不妊症とは
日本産科婦人科学会では、普通の夫婦生活を1年続けられても妊娠されない場合を不妊症と定義しています。
なぜ、私たちだけが不妊症で悩まなければならないのかとお考えかもしれません。実は非常に多くのカップルが同じ悩みをお持ちなのです。以前は10組に1組とも言われていた不妊カップルは今では7組に1組とも言われています。
最近では女性の社会進出で妊娠、出産を先延ばしにされるご夫婦も多くなりました。ただ、女性の妊娠しやすさは加齢とともに下がってしまいます。妊娠されにくい場合には早く検査、治療を受けられた方が妊娠の確率が高くなります。ご結婚後1年を経過されても妊娠されない場合には基本的な検査を受けられて、必要なら治療をお受けになることをお勧めします。
ちなみに80%のカップルは望んでから6ヶ月以内に妊娠に至り、女性の妊孕能(妊娠する力)は35歳以上で低下することから、米国生殖学会では女性が35歳以上の場合は6ヶ月の不妊期間で検査を勧めています。不妊の原因は女性の側にだけあるわけではありません。女性の原因と男性の原因はほぼ半々です。ですから、不妊の原因を調べて適切な治療を行うには夫婦のご協力が必須です。
不妊症の検査について
不妊症の治療を受ける前には、さまざまな原因のうち、どれが実際にその方の妊娠の障害になっているのかを調べるためにいろいろな検査を受ける必要があります。その結果、不妊症の原因がわかれば、その原因を取り除く治療をすれば良いわけですから、検査は治療の第一歩といえます。
不妊症で産婦人科を受診した場合、実際にはどんな検査を受けることになるのか、ご説明したします。
不妊症の原因について
不妊症を治すには原因を精査して治療することが大切です。WHO(世界保健機関)が発表した不妊症の統計で不妊症の原因は、41%が女性側、24%が男性側、24%が女性男性ともにあり、11%が原因不明となっています。つまり、不妊カップルの約半分は男性にも原因があることが分かっています。
ですから不妊症の原因をつきとめて治療を受けようという場合には、女性だけが診察を受けるのは片手落ちです。赤ちゃんができてから育てるのも夫婦の共同作業ですし、もし妊娠しにくい場合にはやはり男性と女性が協力して治療に当たりましょう。不妊症の原因がどこにあったとしても、夫婦のきずなを強くもって専門医と協力して妊娠に向かって努力しましょう。
一般不妊治療について
にしたんARTクリニックが提供する一般不妊治療について紹介します。不妊に悩む患者さまに寄り添い望みを叶えられるよう、タイミング指導や人工授精用いて、もっとも患者さまの負担が少ない方法で妊娠を目指すお手伝いをいたします。
生殖補助医療(ART)について
体外受精や胚移植など、配偶子(卵子・精子)を体外で取り扱う治療を生殖補助医療(ART)と呼びます。
現在の不妊治療にとってARTは欠かせない治療法となっており、少産・少子化が進行するなか、15人に1人がARTにより誕生しています。
習慣性流産(不育症)について
流産はとてもつらいものですが、残念なことに頻度もかなり高いことが知られています。全妊娠の15-20%が流産に終わります。また、3回以上続けて流産される方も1~2%いらっしゃいます。3回以上流産された方の場合、次の妊娠も流産に終わってしまう確率が50%以上あります。
【習慣性流産の治療】
- 低用量アスピリン療法(バッファリン)
- タクロリムス
- 漢方薬、生薬
- 甲状腺ホルモンの服用
- 子宮内視形成手術
- ヘパリン療法
- ステロイドホルモン(プレドニン)
- プロゲステン(黄体ホルモン)、排卵誘発剤などによる黄体機能不全の治療
- テルロンなどによる高プロラクチン血症の治療
- 抗菌剤服用