当クリニックにおけるPGT 着床前検査

PGT受検対象者

PGTを受けるために特別な基準はありません。有効性がある場合にはどなたでもPGT-A、PGT-SRを受けていただくことができます。

当クリニックは日本産科婦人科学会で行うPGTの認定施設ではありません。
日本産科婦人科学会の認定を受けた施設では、以下の基準を満たした場合にPGTを行っています。

日本産科婦人科学会のPGT受検対象者

  • 流産を2回以上経験している
  • 体外受精をして、連続して2回の移植不成功を経験した場合
  • 夫婦いずれかに染色体構造異常(均衡型染色体転座など)がある
  • 重篤な遺伝性疾患の保因者で、日本産科婦人科学会に申請し、PGT-M適応となった場合

不妊治療では、限られた時間をいかに有効に使うかが一番大切な課題です。移植を繰り返さないといけない、流産を経験しないといけないなど、心身への負担が大きい上に時間が費やされる日本産科婦人科学会の基準は、患者さまにとっては厳しい条件ではないでしょうか。
高齢の方の場合には、体外受精を行ってもなかなか移植できる胚まで育たないこともあります。採卵を繰り返しやっと育った胚を移植しても着床しない、流産になるということを繰り返しているうちに、基準を満たしたときには、すでに移植できる胚を作ることもできなくなってしまっているかもしれません。
また、年齢が若くてもAMH値(抗ミュラー管ホルモン)が低いなどの理由で、沢山の卵子が作れない方もあります。その場合、染色体の数的異常率の低い若い年齢のうちに移植可能胚を見つけることは大切です。卵子が沢山採れない方は高齢になればさらに採れる卵子の数は減り、染色体異常率は高くなっていくので、移植可能胚を見つけることが難しくなります。

遺伝カウンセリング

PGTは体外受精の成績を上げるための方法です。体外受精をする必要のない方は対象になりません。
医師が診察して、治療として体外受精が必要でありPGTの効果があると判断した場合に、患者さまとパートナーお二人そろって遺伝カウンセリングを受けていただきます。
遺伝カウンセリングでは、PGTを希望する理由、染色体異常などご家族で共有する不妊の原因がないかを知るための家族歴、過去の不妊治療歴、妊娠歴などを詳しくうかがいます。
そのうえで、PGTの方法、何が分かりどのような効果が期待できるのか、体外受精やPGTを受けることで発生するリスク、検査の限界など詳しくご説明します。
PGTを希望される方の状況は様々です。PGTの有効性、必要性も異なります。
何らかの基準を設けて条件から外れる人を排除するような検査体制というのはあまりにも乱暴なやり方だと考えます。門戸を広く開き、時間をかけて、個々の患者さまにとって検査の必要性、有効性など理解していただいたうえで、PGTが必要な方にはどなたにでも検査を受けていただきたいと考えています。
沢山の患者さまにPGTを受けていただいている、経験豊富な当クリニックだからこそ、丁寧な遺伝カウンセリングが可能となります。
遺伝カウンセリングを受けた後、お二人で相談して、PGTを受けるか受けないかを決めていただきます。

豊富な経験と高い技術力

2004年から今日まで11,000件以上のPGTを行っております。また約2000人の方がPGTを受けて出産されています。
PGTが成功するかどうかは、いかに沢山の胚盤胞を検査できるかどうかにかかっています。当クリニックは基本的に胚盤胞移植しかしないクリニックです。加えて、PGTを行っているという事情もありますので、胚盤胞を育てる技術を持っています。

豊富な経験と高い技術力

胚盤胞を沢山育てるためには、誘発方法、採卵方法、胚培養など一連の技術が全て高水準を維持している必要があります。
さらに、PGTで特に重要なのは胚生検(バイオプシー)の技術です。うまく胚生検ができないと受精卵を傷めてしまう可能性があります。また、採取する細胞数が充分でないと正確な結果が出ません。当クリニックでは日常的に多数のPGTを行っていますので、胚培養士全員、熟練した高い技術を持っています。これは検査精度が97%と高く、検査結果が判明しない確率がわずか1%、移植後に検査結果と矛盾したという例も無いということからも明らかです。これらの値はグレードの良い胚盤胞だけを選んで検査した値ではなく、低いグレードでも胚盤胞まで育ったものは可能な限り胚生検した結果ですので、技術力の高さは他に引けを取ることはないと考えております。