大谷レディスクリニックでは、不妊治療に精通したスタッフが一般不妊治療・体外受精・顕微授精など、不妊でお悩みの方のための治療に取り組んでいます。

妊娠のしくみ

妊娠するための男性の身体のしくみ

精子

もし排卵が起こる少し前にセックスを持つと男性の陰茎から飛び出た精液は女性の膣の中、子宮の入り口のあたりに放出されることになります。精液の中の精子は子宮の入り口にある子宮頚管という細い管から、子宮の中を通って卵管に向かって泳いでいきます。

赤ちゃんの遺伝子の半分はお父さんの遺伝子です。そしてこのお父さんの遺伝子をお母さんの体の中、最終的には卵子の中まで運ぶ役目をしているのが精子です。
精子ができる場所は精巣です。精巣は陰茎の下、陰嚢の中にぶら下がっています。精巣には2つの役目があります。その第一は精子を作ること、そしてもう一つは男性ホルモンを分泌することです。

精巣は非常に血行がよく、また温度の変化や圧迫、外傷に敏感です。実は精子は幼い赤ちゃんやかなりのお年寄りの精巣でも作られており、90才の老人でも受精可能なよい精子を作ることができます。
精巣は体温よりすこし低い温度でもっともよく働くようにできています。陰嚢が体の下にぶら下がっているのは精巣の温度を少し下げるためなのです。陰嚢の温度が上がるようなきつい下着などは精巣の働きを悪くしてしまいます。逆に冷水浴などで陰嚢の温度が下がりすぎたときには陰嚢の中の筋肉が収縮して精巣を体の中に引き上げて精巣の温度が下がりすぎないように自動的に調節します。
精子は排卵の時だけしか放出されない卵子と違って、精巣の中でずっと作られ続けています。精巣の中で完全な精子が作られるまでには約70日間の日数がかかります。できあがった精子は精巣の上に帽子のようにのっている精巣上体にある何本もの細い管で何日か過ごした後、輸精管を通って精嚢に運ばれ射精を待ちます。精子は完成してから男性の体の中で2~3ヶ月は生き続けることができます。

精嚢と前立腺の2箇所では精漿とよばれる弱アルカリ性でゼリー状の精子を保護する役割を持った液が作られています。男性がオルガスムスを感じると強い律動性の筋肉の収縮によって精嚢が収縮し、その中の精子はこの精漿とまざって尿道の中に押し出されます。さらにもっと筋肉の収縮が起こって最終的に精液は陰茎の先から勢いよく射出されることになります。1回の射精で放出される精子の数は一億匹から十億匹にも達します。

精子は25分の1mmぐらいの長さで頭と頚、そして尾の3つの部分からできています。頭には遺伝子の入れ物である染色体が入っています。頚は頭と尾をつないでいるだけでなく、尾がむち打つように動くのに必要なメカニズムも持っています。尾は長くて細く、魚の尾のように動いて精子が前進する駆動力を作り出しています。精子は前に進んでいるときに何か堅いものにぶつかるとすぐにその方向を変える性質があります。精子が進む速度は10秒間に1mmぐらいで、あまり早くないと思われるかもしれません。実際このスピードではオリンピックでメダルをとるのは無理かもしれませんが、小さい精子にとってはかなりの速度です。

精子が射出されるのは女性の膣の中ですが、膣の中は酸性なのでアルカリ性の好きな精子にはあまり居心地のいい場所ではありません。射精されたばかりの精子は精漿で保護されていますが15分か20分のうちに精漿は薄まってしまいます。そこで精子は自分の力で泳いで子宮の入り口にある子宮頚管というところに向かいます。
しかし精子はそう簡単に子宮頚管の中に入れるわけではありません。というのは子宮頚管の中にはふだんはごく少量の非常に粘性の高い液しか入っていないので精子はここに入っていくことができないのです。しかし排卵が近くなると子宮頚管の中の液は量も増え粘性も下がって精子が入りやすくなるのです。しかも排卵日近くの頚管の中の粘液は弱アルカリ性で精子にとって快適です。ですから精子が子宮の中に入ることができるのは排卵日近くだけということになります。

排卵日近くに射精された精子のうち子宮頚管の中に入れる精子は全体の約10%、たぶん4000万匹といったところでしょう。子宮頚管までたどり着けなかった精子は膣の酸性のために死んでしまうことになります。子宮頚管を通った精子はさらに子宮の一番上にある卵管の入り口を通って最終的な受精の場である卵管の外側の端をめざします。小さな精子にとっては長い旅です。卵管の中はまっすぐではなくたくさんのひだが待ちかまえていて精子の旅をさらに難しいものにしています。でも卵管の中は弱アルカリ性で精子が生き延びるのには好都合になっています。子宮の入り口から卵管の端まで精子が旅する長さは約23cmにもなります。