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お知らせ

報道された名古屋市大の論文について

Yahoo!ニュースなどで報道されている名古屋市大の杉浦氏の論文はプロス ワン(PLOS ONE)というオンラインジャーナルに載っていますが、この電子媒体は掲載の可否を決める基準として論文の「認識された重要性」を採用していない、特殊な電子媒体です。 すなわち、内容に意味が無くても掲載されてしまう電子媒体で、逆に言うと、こんな電子媒体にしか掲載できなかったと言うことは、この論文(といえるかどうかも疑問ですが)は他の権威のある医学雑誌には掲載できなかったということでしょう。 データを見ると転座を保因の方が着床前診断を受けても、赤ちゃんを得る確率は変わらなかったとしていますが、流産率は著明に低下しています。また、流産率の高い(65〜75%)相互転座の保因者と流産率の低い(30%強)ロバートソン転座の保因者を区別せずに取り扱っており、意味の無い内容です。 多分、マスコミ向けに書いたのだと思われます。 杉浦氏は以前にも相互転座を保因されている方で着床前診断を受けられた方が生児を得る確率は、自然で様子を見て一生かけて一人以上生児を得る確率と変わらないとする論文を、別の論文を引用しながらも、その論文に書かれていないデータを捏造して発表したことがありますが、今回も、出生率が変わらないという結論ありきで、研究対象を選別した可能性が高いと思われます。 但し、今回の論文でも明らかなように、着床前診断で流産率が低下することは間違いの無い事実です。しかしながら、この論文によれば着床前診断を受けても出産までに24%もの方が流産されたという事で、私どもでは考えられない高い確率(私どもでは10%以下)で、この研究を実施した施設の技術の低さを物語っています。着床前診断の技術が低ければ、着床前診断を受けた後の出産率が下がるのは当然ですから、今回の報告は「技術の低い施設で着床前診断を受けても出産率は上がらない」と解釈すべきでしょう。 なお、着床前診断を受けない場合の流産率は58%との事ですが、この確率は過去の流産回数が増えると共に上がります。今回の報道の研究では2回以上の流産をされた方を対象にしています。