神戸ARTレディスクリニックでは、不妊治療に精通したスタッフが一般不妊治療・体外受精・顕微授精など、不妊でお悩みの方のための治療に取り組んでいます。

着床前診断

着床前診断とは

着床前診断を望む方の声


◆ 着床前診断(検査)は胚移植あたりの妊娠率を上げて流産率を下げることのできる技術です。

米国生殖医療学会がpreimplantation diagnosis(着床前診断)からpreimplantation testing(着床前検査)に呼称を変えたため、日本でも着床前検査と呼ばれることが多くなりました。

着床前検査は大きく3種類に分けられます。

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)は受精卵の全染色体の数の異常の有無を調べて、着床しやすくて流産しにくい、染色体の数の異常の無い受精卵を子宮に戻してあげて、胚移植あたりの妊娠率を上げて流産率を下げる目的で実施されます。

PGT-SRは転座などの染色体の構造異常を保因されていて、流産されやすい方に流産しにくい胚を選んで子宮に戻してあげて、流産を回避する目的で実施される検査です。

PGT-Mは遺伝疾患を回避する目的の検査です(当院では実施致しておりません)。

 

日本産科婦人科学会が2019年12月、欧州ひと生殖医療学会誌にPGT-A(着床前胚染色体異数性検査)についての臨床研究の結果を報告していますが、着床不全を理由としてPGT-Aを受けた群では、胚移植あたりの妊娠率は17/24 (70.8%)、受けない群では13/41 (31.7%)、流産率はPGT-Aを受けた群では2/17 (11.8%)受けない群では 0/13 (0%)になっています。

また、習慣流産を理由としてPGT-Aを受けた群では胚移植あたりの妊娠率は14/21 (66.7%) 、受けない群では11/37 (29.7%)、流産率は受けた群では2/14 (14.3%) 受けない群では2/10 (20.0%)と報告しています。

合計すると胚移植あたりの妊娠率はPGT-Aを受けた群では胚移植あたりの妊娠率は31/45(68.9%)、受けない群は24/78(30.8%)になります。

移植あたりの出産率が上昇することは統計的に有意であるとの結論でした。

流産率については症例数が少なすぎて統計学的な差が出なかったということでしょう。

着床前検査では通常の体外受精・胚移植に加え、胚生検、染色体診断という技術が用いられます。

特に重要なのは胚生検(バイオプシー)の技術です。胚生検とは受精卵から検査のために一部の細胞を採取する方法です。私どもでは受精卵が受精後5〜6日目の胚盤胞まで成長したときに、将来胎盤など胎児以外の組織になる部分(栄養外胚葉)の細胞を5個程度採取しています。胚生検の技術には十分な経験が必要です。胚生検が下手だと受精卵を傷めてしまう可能性があります。第61回日本母性衛生学会での日本産科婦人科学会の前倫理委員長の講演によれば日産婦の臨床研究では胚生検した受精卵で、遺伝子が足りないなどの理由で結果が判明しない割合が31%もあったとのことです。私どものクリニックではこの割合は0.43%にすぎません。私どもの技術の高さを物語っています。

図5 胚生検

大谷レディスクリニックでのPGT-A(着床前胚染色体異数性検査)の成績を下の図に示しますが、日本産科婦人科学会の成績に勝るとも劣らない結果です。

さて、PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)は受精卵が子宮に着床して妊娠が成立する前に、受精卵の全染色体のどれかに数の異常がないかどうかを調べる医療技術です。着床前検査は不妊症や習慣流産などでお悩みの方が新しい命を育むための技術です。 自然の妊娠では体の中で受精した受精卵の内、 25 ~ 30% しか赤ちゃんとして生まれてこないことが知られています。これは、受精卵の多くに染色体異常があるため、着床しなかったり、着床しても流産や死産を起こしてしまったりする事が大きな原因の一つです。受精卵の内、染色体異常を持つものの割合は30歳以下の方で30%程度、35歳の方で40%程度、42歳の方ですと約80%にもなります(下図) 。

染色体に異常をもつ受精卵の97%以上は着床しても流産、死産してしまいます。最も流産の可能性が低い21番染色体のトリソミーでも、流産、死産の確率は約8割にのぼります(沼部博直、産婦人科の世界 53, 771-781)。一方、流産胎児の染色体を調べると約7割に染色体異常が認められますが、新生児の染色体異常は1%以下ですから、染色体異常を持つ受精卵が妊娠しても殆どが流産してしまうことは明らかです。

 

着床前検査を受けると、もともと染色体異常で着床できなかった受精卵、あるいは流産する運命にあった受精卵を調べて、胎児として発育できる受精卵だけを子宮に戻すことができます。体外受精後の流産はこういった受精卵の染色体異常による場合が多く、着床前検査を受けることで、胚移植あたりの妊娠率が上昇し、流産率が減少することが証明されています。着床前検査は不妊症の方が無駄な胚移植や流産を回避して、新しい命を育んでいただくことを可能にする技術なのです。

 

また、染色体の相互転座による習慣流産の方の場合には一般に受精卵の約17%しか、発育して出産まで至ることのできる染色体を持っていませんが、着床前検査(PGT-SR)により、新しい命になる可能性のある受精卵だけを選んで子宮に戻すことができます。相互転座による習慣流産の方の流産率は70~80%と報告されていますが、着床前検査によって一般の方と同じか、それ以下の10%前後まで低下させる事が可能です。大谷レディスクリニックでは相互転座の着床前診断によって、35歳未満の方であれば、84.4%の方が妊娠、出産されております。

 

大谷レディスクリニックでは現在、次世代シーケンサー(NGS法)とロボットの組み合わせいう最新の方法で24種類全ての染色体の検査を97〜98%の精度で実施することが可能です。次世代シーケンサーとロボットを使うことで、従前のアレイCGHと呼ばれる方法に比べて、診断の精度が格段に向上し、妊娠率のさらなる上昇、流産率のいっそうの低下が可能になりました。

 

流産を繰り返すと子宮に傷が付いて、子宮内癒着を起こす可能性が高くなるのも大きな問題です。一回の流産で子宮内癒着が起こる確率は18.8%、流産を繰り返している方では47.6%に子宮内癒着が認められると報告されています(Romer T et al. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 1994 Dec;57(3):171-3)。子宮内癒着が起こると着床が妨げられて不妊症になったり、さらなる流産の可能性がますます高くなったり、もし分娩まで到達しても癒着胎盤による大出血の原因になる可能性があります。着床前診断によって流産を予防すれば、重大な帰結をもたらす可能性のある子宮内癒着の予防にもつながります。

流産後に起きた子宮内癒着の子宮鏡像

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